四角に「福」の裏印（底款）のある、九谷焼青手花鳥図の花瓶です。 裏印角「福」に関して、江戸期の九谷焼では、陶画工の名前が高台の中に書き入れられたものはほとんどなく、窯元の名前か、吉祥を意味した角「福」などの銘であったが、明治期に入ると陶画工の個人の銘を入れるように変わっていったと解説が。 上の解説から、角「福」のある出品の花瓶は明治期前の九谷焼だと考えられ、１５０年以上の経年です。 製造由来の貫入（かんにゅう）と呼ばれる細かいヒビが全体に見られますが、高台周辺には、貫入に入り込んだ埃によると思われる黒ずみがあります。また、開口部すぐ下のモヤが見られますが、拭き取れず何によるものかは不明です。これら以外に製造由来の大きな傷、使用によって生じた欠けやヒビ割れなどはほとんど確認できず、状態は良好と考えられます。 なお、水漏れのないことは確認しています。 大きさは約、高さ３０ｃｍ、開口径１０ｃｍ、首内径３．２ｃｍ、胴最大径１６．５ｃｍ、底径１０．５ｃｍ、重さは約１４００ｇです。 出品の九谷焼の良さを簡潔にお伝えできれば良いのですが、容易ではありませんので、コレクション、花瓶、置物、いずれにも価値ある一品にしていただけると思います、と書かせていただきました。